ステンレスとは

 強い耐食性を目的として製造された鋼(のグループ)であり、成分的に12%以上のクロムを含有しているものの総称です。ステンレスは優れた耐食性が特徴ですが一般の鋼と同じ「鉄」が成分の大部分を占めておりますので、ステンレスでも錆びるという現象は発生します。

 従ってステンレスは「さびない鋼」ではなく一般の鋼に比べて「さびにくい鋼」と解釈してください。ステンレスがさびにくいのは表面に形成される不動態被膜によるもので、この被膜によってさびの進行を抑制しているからです。
 ステンレスの場合、クローム量の増加とともに不動態を促進し、ニッケル量の増加とともに、不動態の範囲を拡大する作用があります。クローム・ニッケルをともに含有するステンレスの鋼種をオーステナイト系ステンレスといい、優れた耐食性を示すステンレスとされています。

 当社排気筒に使用しているステンレスは、オーステナイト系ステンレスの代表鋼種である(SUS304)とフェライト系ステンレスの代表鋼種である(SUS430)です。

 ※不動態とは、金属の表面が不溶性の超被膜に覆われて腐食されにくくなる現象またはその状態です。ステンレスの不動態 被膜は約100万分の1mmです。

ステンレスがさびる原因と対策

 ステンレスの表面に形成している不動態被膜が何らかの原因で破壊され、被膜の再生が妨げられた場合さびが発生します。主な可能性としては次の通りです。

①異種金属の付着
 ステンレスに鉄やアルミニウムの粉末が付着した状態で放置した場合、いわゆる「もらいさび」となることがあります。また、ステンレスと異種金属(鉄・亜鉛etc)を接触した状態で使用されると、その接触部にもらいさびが生じることがあります。

②塩分の付着
 海岸地帯の建物に使用されているステンレスが、潮風に含まれている塩分を付着したままで放置された場合、さびることがあります。ステンレスの流し台のさびの原因もほとんどの場合、塩分に起因しています。

③煤煙、亜硫酸ガスetcの付着
 排煙中に含まれる煤煙、塩化物etcの有害成分の付着や亜硫酸ガスetcの影響を受けた状態で放置された場合さびることがあります。

④洗浄薬液の付着
 汚れやさび落とし用の洗浄剤を使用した際、付着した状態で放置されますとその部分がさびることがあります。

⑤直接さびの原因にはなりませんが、指紋・手あか・油脂類・セメント・養生フィルムの糊残りetcがあった場合、有害成分が付着しやすく除去しにくくなり、さびの原因になります。

ステンレスの主な鋼種

区分 鋼種主要成分
 フェライト系 SUS430 18Cr(クロム)
 オーステナイト系 SUS304 18Cr(クロム)、8Ni(ニッケル)
 オーステナイト系 SUS316  18Cr(クロム)、12Ni(ニッケル)、2.5Mo(モリブデン)
※SUS304・316は、SUS430より耐食耐候性、溶接性、加工性に優れています。(SUS430には、磁性あり)
※モリブデン・銅は不動態化を容易にします。

ステンレスの主な表面仕上げ

▶No.2B‥にぶい灰色のつや消し仕上げ、やや光沢あり
▶BA‥鏡面に近い光沢をもった仕上げ

燃焼機器の吸排気方式

燃焼方式 内  容呼び方
 自然燃焼方式燃焼用の空気を屋内から採って、排気を排気筒から自然通気により屋外に排出する方式です。 CF
 強制燃焼方式燃焼用の空気を屋内から採って、排気を送風機により強制的に屋外に排出する方式です。  FE
 強制給排気式 給排気筒を屋外に出し、送風機によって、強制的に給排気を行う方式です。 FF

ステンレス304厚板アルゴン溶接煙突使用例

■部品リスト

 No.名   称 No. 名   称
 1 差込、合フランジ(フランジ仕様) 8  アングル金具、取付金具(大・中)
 2 R曲、L曲、ドラフト(キャップ型) 9  丸トップ、Hトップ、陣傘
 3 点検口、測定口 10  雨仕舞
 4 R曲、L曲、T曲、45°<曲 11  トラ張り用ツメ
 5 45°<曲(心ズレ角度) 12  T曲(蓋、ソケット)R曲
 6 壁仕舞、リング 13  手動ダンパー
 7 T曲(蓋、ソケット)  

排気筒における補足注意事項

● 施工上の注意事項

  • 風や振動、衝撃で外れると排ガスが屋内に漏れる恐れがある為、排気筒は確実に接続し、しっかりと固定して下さい。
  • 屋内に排気すると排ガスが充満し大変危険ですので絶対に屋内排気は行わないで下さい。
  • 排気筒が変形したり、穴があいた場合、使用中に排ガスが屋内に漏れる危険があるので使用しないで下さい。
  • 排気筒の先端は、周囲の建物、隣家及び人通りなどに配慮し設置して下さい。
  • 排気筒の先端は、必ず網付きH型トップなどを取り付け、雨水や鳥などが入らないようにして下さい。
  • 排気筒貫通部は不燃材を使用して下さい。
  • 人が容易に触れやすい、火傷の恐れがある部分には断熱材を巻き付けて保護して下さい。

● 燃焼機器運転時 使用上の注意事項

  • 排気筒の表面温度が高くなることがありますので、直接触れないで下さい。
  • 可燃物を近づけないで下さい。
  • 排気筒表面が変色することがあります。